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円高・円安が消費者に与える影響とは?
円高・円安は、私たち消費者の生活に直接影響を及ぼします。 「円高 円安 どっちがいい?」「円安になると消費者にどんなメリットがありますか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。 ここでは、消費者目線で円高・円安の影響を詳しく解説します。
円高・円安の基礎知識
円高・円安とは、日本円の価値が外国通貨に対して変動することを指します。
- 円高: 1ドル=150円から1ドル=140円になると、円の価値が高まった(円高)といいます。
- 円安: 1ドル=140円から1ドル=150円になると、円の価値が下がった(円安)といいます。
この変動は、消費者の生活に様々な影響を与えます。
円高のメリット(消費者にとってプラス)
- 輸入品が安くなる → 海外からの輸入品(食品、家電、ブランド品など)が安く買える
- 海外旅行がお得になる → 円の価値が高まるため、少ない円で多くの外貨を手に入れられる
- 原材料費が下がる → 石油、小麦、鉄鉱石などの輸入コストが下がり、国内の物価が安定する
- ガソリンや光熱費が安くなる → 輸入エネルギーのコストが下がるため、電気・ガス代が下がる可能性
円高のデメリット(消費者にとってマイナス)
- 輸出企業が不利になり、雇用が減る可能性 → 円高により輸出企業の業績が悪化し、リストラや賃金低下につながる
- 国内観光が高くなる → 円高で外国人観光客が減り、観光業が落ち込む
- 給料が上がりにくい → 企業の利益が減ることで、賃金の上昇が抑えられる
円安のメリット(消費者にとってプラス)
- 国内の雇用が増える可能性 → 輸出企業が好調になり、国内の雇用が増加する可能性
- インバウンド需要が増える → 円安で外国人観光客が増え、観光地が活性化
円安のデメリット(消費者にとってマイナス)
- 輸入品が高くなる → 食料品や家電製品、衣類などが値上がり
- 海外旅行が高くなる → 円の価値が低下するため、多くの円が必要になる
- ガソリン代・光熱費が上がる → 石油・天然ガスの輸入コスト増加により、電気代やガソリン代が上昇
- 生活費が増加(インフレ) → 日常生活にかかるコスト全般が上がる
円高になると海外旅行がお得になる
円高か円安かがいちばん気になるのが、海外旅行の時です。
たとえば、5000ドルの予算で米国に旅行するとします。すると、
5000ドルの現金やトラベラーズチェックの購入に必要なお金は、
1ドル=140円のとき → 140円✕5000ドル=70万円
1ドル=150円のとき → 150円✕5000ドル=75万円
となります。
1ドル=150円だったドル円が海外旅行に行くときに
1ドル=140円の円高になったとすると、その差は実に5万円になります。
海外旅行好きな人にとって、急激な円高は見逃せないチャンスとなるわけですね。
また、海外旅行から帰ってきて、残った外貨を日本円に換えることもありますが、このときも為替レートによって得することも損することもあります。

例えば、上の図のように米国旅行に行くときに
1ドル=145円で交換したドルを500ドル持ち帰り、
1ドル=150円の円安のときに両替すると5万1600円になり、1600円得します。
逆に、1ドル=145円の円高のときに両替すると4万8160円になり、1840円損します。
※為替両替手数料は考慮していません。
海外旅行から帰ってきた時、両替した外貨がたくさん残っていた時、すぐに両羽替えする必要がないのであれば、為替レートをみてから少し待って、円安の時に両替してみてもいいかもしれません。損をしないためには、いつ両替するかがとても重要になります。
円高になると輸入品を中心に物価が下がる
次に、生活する上で気になる物価についてです。

たとえば、上の図のように1ドル=150円のときは1000ドルの米国製ソファが15万円でしたが、円高で1ドル=140円になると1万円安くなり、14万円で買えるようになります
逆に、1ドル=160円へと円安になると、1万円高くなり、16万円出さないと買えません。
このように、円高が進むと輸入品の価格が下がって安く買えるようになり、逆に円安が進むと値上がりします。
円高になると、デパートやスーパーマーケットなどあちこちのお店で「円高還元セール」が始まり、高価なブランド品や高級輸入食材などを格安で手に入れられるかもしれません。
こうした円高による輸入品の値下がりは、日本の物価全体にも影響を与えます。値下がりで輸入品の人気が高まると、同じジャンルの国内商品は売れなくなるため、いやおうなく値下げに踏み切らざるを得なくなるからです。
さらに、石油やゴム、鉄鉱石、トウモロコシ、小麦など、商品をつくるために海外から輸入している原材料も安く買えるようになり、物価全体が下がります。
ただし、円高になっても輸入品がすぐに値下がりするとは限りません。現在1ドル=150円でも、輸入した会社が1ドル=160円のときに代金を払っていれば、値下げすることはできないからです。
円高のメリットを受けられるかどうかは、貿易の決済のタイミングにも関係してくるのです。
状況別の損得を考えてみる
他にも、次のような場合に為替相場の変動は密接に関係してきます。
海外に送金する場合
海外にお金を送金するのは、円高のときのほうが有利です。
たとえば、米国に留学している子どもに毎月2000ドル送っている場合、送金に必要なお金は、円高になるほど安く済みます。
- 1ドル=150円(円高)なら300万円
- 1ドル=160円(円安)なら320万円
日本で収入を得て米国で生活する場合
円高になると、一定額の日本円の収入をより多くのドルに換えられるため懐が潤います。
逆に円安になると、前より少ないドルにしか換えられなくなるため、生活は以前より厳しくなります。
ドルで収入を得て日本で生活する場合
円高になると、一定額のドルの収入を以前より少ない円にしか換えられなくなるので、実質的に収入ダウンになります。
逆に円安になると、以前より多くの円に換えられるため、収入が増えることになります。外国企業の東京支社で働いていて、ドルで給料をもらっているケースがこれにあたります。
このように円高・円安は、人によってメリットにもデメリットにもなりますから、一概にどちらが良いか悪いかはいい切れません。
とはいえ、日本で生活するには円安よりも円高のほうがありがたいと考えてよいでしょう。
まとめ:円高・円安は消費者にとってどっちがいい?
「円高 円安 どっちがいい?」という問いには、一概に答えは出せません。
- 円高 → 消費者にとっては輸入品が安くなり生活コストが下がるため、メリットが多い
- 円安 → 企業にはプラスの影響があるが、消費者にとっては生活コストが上がるデメリットが大きい
現在(2025年1月)、日本は円安傾向にあります。 「円安 デメリット しかない」という声もありますが、企業の業績向上や雇用の増加という側面もあります。
消費者としては、円高・円安の影響を考えながら、節約や資産運用の工夫をすることが重要です。