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外貨預金とFX(外国為替証拠金取引)とは?
外貨預金
2025年1月現在は157円台となっていますが、少し過去の話にさかのぼります。
2008年3月にドル円レートが1995年11月以来、12年4ヶ月ぶりに1ドル=100円を突破し、さらに3月下旬には1ドル=95円台まで円高・ドル安が一気に進んだことがありました。
この時、お金の預け先として注目されたのが「外貨預金」です。
外貨預金とは、外国の通貨で預金することです。
円の定期預金を解約して、外貨預金に預け替えた人がかなりいたようです。
利用者が急増した理由は、多くの人が「今が外貨預金を始めるチャンスだ!」と判断したからです。
外貨預金は、円高の時に預け、円安の時に解約すると利息に加えて「為替差益」が受け取れます。
為替差益とは、為替レートの変動によって生じる利益、反対の「為替差損」は、為替レートの変動によって生じる損失のことです。
具体的にどれだけ得、あるいは損をするのかを、1ドル=100円の時に1万ドルをドル預金(金利5%と仮定)に1年間預けたケースで考えてみます。
1万ドルを預け入れるときに必要な円は、100万円(1ドルあたり100円×1万ドル)
1年後の受け取り金額は、ドルベースだと利益を含めて次のようになります。
1万ドル+利息分(1万ドル×5%)=1万500ドル(税引き前)
では、1年後に「1ドル=80円の円高」になっていたとします。
その場合、1万500ドルを円に換えると次のようになります。
1万500ドル×80円=84万円(税引き前)
投資した100万円は84万円になり、16万円のマイナスです。
このように、利息が付いてドルの金額は増えても、円高が進むと円に変えた時に損する可能性があります。
一方、1年後に1ドル=120円の円安になっていた場合は、
1万500ドル×120円=126万円(税引き前)
となり、投資した100万円が126万円に増え、26万円プラスになります。
このように円安が進むと、円に変えた時に得します。
つまり、外貨で運用する金融商品に投資している人にとっては、「円安はありがたい」「円高は困る」というわけです。
項目 | 1ドル=80円の場合 | 1ドル=120円の場合 |
元本(100万円)の円換算額 | 80万円 | 120万円 |
為替差益 | -20万円(為替差損) | +20万円(為替差益) |
金利(円換算) | 4万円 | 6万円 |
合計損益 | -20万円 + 4万円 = -16万円 | 20万円 + 6万円 = +26万円 |
前述した2008年3月のとき、外貨預金をした人は「12年4ヶ月ぶりに1ドル=100円を突破する円高になったのだから、そろそろ円安に向かうだろう。今預ければ為替差益をたくさん得られるに違いない!」と考えたはずです。
その読み通り、同年8月にはドル円レートは1ドル=110円台まで一旦の円安・ドル高に進みました。この時、ドル預金に預けて為替差益でお金を増やしたという人も多かったのではないでしょうか。
このように、外貨預金は為替レートの変動によって利益を得られる可能性がある反面、大きな損失を被るリスクも伴います。
外貨預金をおすすめしない理由
- 為替手数料が高い 外貨預金では通貨の売買に手数料が発生します。銀行によっては1ドルあたり数円の手数料がかかり、為替差益を大きく減らしてしまう可能性があります。
- 為替リスクが高い 為替レートが予想に反した動きをすると損失が発生します。特に、円高が進むと預金の価値が大きく目減りします。
- 利回りが低い 外貨預金の金利は、過去に比べて低下傾向にあります。高い手数料を差し引くと、実質的な利益が少なくなる可能性があります。
外貨預金に適した国の選び方
外貨預金で通貨を選ぶ際は、以下の要素を考慮しましょう:
- 金利が高い国:
- トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨は注目されがちですが、為替の変動リスクが高いので初心者には難しい選択肢です。
- 安定性の高い国:
- 米ドルやユーロなどの安定した通貨は、リスクを抑えたい場合に適しています。
- 経済情勢や為替の見通し:
- 国の経済状況や中央銀行の政策金利の動向をチェックすることが重要です。
外貨預金のやり方
- 銀行口座を開設: 外貨預金が可能な銀行を選び、口座を開設します。
- 通貨を選ぶ: 預ける通貨を選びます。初心者には米ドルやユーロがおすすめです。
- 預け入れと為替手数料: 為替手数料を確認し、必要な資金を入金します。
- 利率と解約のタイミング: 解約のタイミングで為替差益や損益が決まるため、慎重に判断します。
FX(外国為替証拠金取引)
最近では、外貨預金よりも積極的に為替差益を狙えるFX(外国為替証拠金取引)という金融商品を始める人が増えています。
FXとは、FX事業者に証拠金を預け、投資家が証拠金を担保に通貨を売買して為替差益を狙う取引です。
簡単に言うと?
FXとは、証拠金を担保にして通貨を売買し、為替差益を狙う取引のことです。レバレッジを利用することで、自己資金以上の取引が可能になります。
一般に証拠金の数倍から数十倍の金額を取引することが可能で、このような取引を「証拠金取引」といいます。FXには以下のような魅力があります。
- 1日24時間いつでもインターネットの取引が可能(土日を除く)
- 外貨預金よりも手数料などのコストが安い
- 自己資金よりも大きな金額を取引できる
FXは短時間で大きな利益を狙うことができますが、同時に大きな損失を被るリスクもあります。証拠金の何倍もの多額の取引をすると、為替差損が発生した場合の損失も大きくなるからです。
預けた証拠金が一瞬にして消滅し、FX事業者に新たに証拠金を預け入れなければならない事態に陥る可能性もあります。
このように、リスクも大きいことから、政府(金融庁)はFXの規制強化(預けた証拠金の何倍まで取引できるかという倍率の上限の設定)に乗り出しています。
FXを始めるには、商品のしくみや取引方法、リスク管理の仕方をしっかりと勉強しておくことが大切です。
FXのメリット
- 24時間取引が可能(土日を除く)。
- コストが低い:外貨預金に比べて取引手数料が安い。
- 少額から始められる:レバレッジを利用すれば少額で大きな取引が可能。
FXのデメリット
- リスクが高い レバレッジによる損失リスクが大きく、証拠金を超える損失を被ることもあります。
- 初心者の失敗例
- トレンドを見誤り、大きな損失を出す。
- 資金管理を怠り、すべてを失う。
FXをやめとけと言われる理由
- ギャンブル性が高い: 短期的な取引に依存しやすく、運頼みになりがちです。
- 精神的負担: 損失が続くと冷静な判断ができなくなり、さらなる損失を招く可能性があります。